相続人がいない場合の遺産相続はどうなる?
2020/02/04
不動産の資産を持っている方にとって、非常に重要になる「相続」に関する問題。
なかでも、不動産の資産を持っていても身内がいない場合、法定相続人がおらず遺産をどうするかという問題が生じます。
もし遺産を贈る相手がいない場合は、どのような流れがあるのでしょうか。
今回は、相続人がいない場合の不動産相続についてお話をしていきます。
相続人がいない「相続人不存在」の場合に遺産はどうなる?
法定相続人とは配偶者と親、祖父母、子、孫、兄弟姉妹が該当します。
もし故人であったら代襲相続で甥や姪も含まれます。
しかし、既に故人であったり、相続放棄や相続欠格だったり、身内がいないなどのさまざまな理由で、遺産を贈る相手がいない場合があります。
この状態を相続人不存在とよびます。
ただし遺言があり誰かにすべて遺贈する旨が記載されていれば、遺産はその人が受け取るため、相続人がいないことにはなりません。
相続人不存在の確定は、家庭裁判所が遺産の管理や貸し付けを受けていた場合の清算などを行う、相続財産管理人を選定するところから始まります。
相続財産管理人選任の公告、債権者・受遺者に対する債権申し出の公告、相続人捜索の公告と3度期日を決めて公告を出し、それでも対象者が現れない場合は確定します。
この3度の公告は、合わせて13カ月以上行うこととなっており、それでも相続人がいない場合は最終的に「国庫に帰属」、つまり国のものになります。
もし相続人不存在となった際、血縁関係はないものの生活を共にしていた内縁関係であったり、長く療養介護をしていたりなどの特別縁故者がいる場合は、財産分与の請求が可能です。
もし、遺産に他者と共有している不動産がある場合は、相続人がおらず、かつ特別縁故者がいない場合、民法に規定されているとおり共有者の持ち物となります。
行方不明などの「不存在」に該当しない場合の遺産はどうなる?
相続人不存在となるのは、法定相続人が元々いないか既に故人である、もしくは相続欠格や相続排除などで相続の資格がない場合です。
相続資格があっても、すべての対象者が相続放棄をした場合も、不存在に該当します。
ただ注意が必要なのが、行方不明である場合には不存在に該当しないということです。
行方不明の場合は、家庭裁判所へ失踪宣告か、不在者財産管理人の選任を申し立てる必要があります。
失踪宣告は行方不明期間が7年継続している場合、失踪と認められます。
不在者財産管理人の選任は、7年より短い期間、1年前後で認められることが多いようです。
まとめ
相続人がいない場合、遺産は最終的に国のものとなります。
もし身内がいない、少ないなどの理由で将来的に相続する人がいなそうな場合は、遺書を書き、お世話になった方や法人などへ遺産を贈る手続きをしておくと、自分の遺志で財産を次世代に遺すことができます。